HELLOWEENというバンド

*マイケル・ヴァイカート後援会事務所*

1988年、ギタリストにしてリーダーであったKai Hansenが脱退。世界中に衝撃を与えたその年に、

のちに(一部で)神盤と呼ばれる「Keeper Of The Seven Keys Pt.2」が誕生していた。

 

上は88年のHELLOWEEN。左から、マイケル・キスク、マーカス、ヴァイキー、カイ、インゴ。

 

カイはふざけてアイマスクをつけているのではない。

カイの脱退理由は体調不良。しかし真相は別にあることぐらい、懸命なメタル者の皆様は

よく知っていることと思う

こういうことであろう。

「オレが書いた曲はオレが歌うっちゅーねん!何でアイツ(キスク・写真一番左)

が歌とんねん!絶対おいだしたる!・・・でもなぁ・・・アイツ、まぁまぁ歌うまいからなぁ・・・

辞めさせとかいうたらフクロにされるよなぁ・・・」

そんなカイの悶々とした心情が、この曲に集約されている。

 

【 March of Time 】

A month, a year, one handred years they fly...

1ケ月、1年、100年・・・光陰矢のごとし。

No more wasted years, no more wasted tears

ムダに年月を過ごし、無益な涙を流すのはもうイヤなんだ。

Life's too short to cry, long enough to try

泣いてばかりいないでトライするのが人生さ。

            *

泣いていたのか、カイ・ハンセン。泣くほど辛かったのだな。

このMarch Of Time、8曲目(守護神伝・完全版では7曲目)に収録されている。

この次の曲でカイは、ついに直接的なワードを口にする。ん?口に?譜面に?弦に?・・・

 

 

【 I Want Out 】 

I want out - to live my life alone

オレは外に出たい!一人で生きたいんだ

I want out - leave me be

外に出たい!好きにさせておいてくれ

I want out - to do things on my own

出て行きたい!自分の力で何でもやりたい

I want out - to live my life and be free

 外に出て、自由に人生を送りたいんだ

                *

あからさますぎる。あまりにも。バンドの創始者であるリーダーが、

曲の中で脱退をほのめかしているのだ。なんと悲しきバンドか!HELLOWEEN!

そしてこの後、カイの不穏なムード引きずったまま、アルバムはクライマックスを迎える。

2枚にわたるKeeperアルバムのタイトルチューンの登場である。

 

 

 

【 Keeper Of The Seven Keys 】 

Make the people hold each other's hands

人類が手を握り合える世界を創らなきゃいけない

And fill their hearts with truth...

みんなの心を真実で満たすんだ・・・

stay well on your way and follow the sign

しっかりとした足取りで啓示に従って進め

fulfill your own promise and do what's divined

誓約を果たし、定め通りの行動をとるのだ

          

オレはこの対訳を読んだ時、涙が出そうになった。

「出て行きたい!」と、(当時は)けして自分で歌うことのない曲に、心の叫びをのせるカイ。

「手を握り合える世界を創らなきゃ」と、結束をメッセージにして呼びかけるヴァイキー。

 

若き日に出合った2人は、共に頂点を目指したにちがいない。

ここにマイケル・キスクが加わり頂点への疾走力は倍増する・・・そして、亀裂が入る。

 

3人の才能は宿命的に引き合い、一時的に交錯し、

そして破裂の直前に頂点を駆け抜けた。

 

「Keeper」の連作は名盤である。しかしオレはアルバム自体よりもこのことに奇跡を感じる。

これを奇跡と呼ばずに何が奇跡か!

「RAINBOWのRisingはもっとスゴい」とか言わないように。わかってます(^^;)

           

それから20年。幾多のメンバーチェンジを経た彼らは、今も自ら建てた金字塔を背負い続けている。

重かろう、ヴァイキー

そんなHELLOWEENが愛おしくてたまりません。

 

 

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